小宮商店 KOMIYA SHOTEN

「関東縫い」と「関西縫い」②

単環縫いミシン 傘づくり 制作

傘職人見習いの小林です。

さて、「関東縫い」と「関西縫い」について。
前回は「関東縫い」についてお話しました。

今回は「関西縫い」のことをお話ししようと思います。

日本の傘産業が最盛期を迎えていた昭和40年代頃は、
日本の傘製造の90%近くは関西の職人たちの手によって担われていたこともあり、
現在でも、日本製傘の多くは「関西縫い」で製作されています。

「関東縫い」が傘の円の中心となる部分を始点として作られるのに対して、
「関西縫い」は円の外周から形を作っていく、ということになります。

傘カバーを縫い合わせる「中縫い」の工程の時、二等辺三角形に裁断した「駒」の底辺部分から針を落として縫うこの製造方法ですと、裾は常にぴたりと綺麗に合わせることができます。
また、生地の裁断時に生じがちな微妙な「駒」の大きさのズレは、縫い終わりまでの長さで調整することができます。
縫い合わせの都度、「駒」の大きさを確認する必要がなくなるため、その分の生産スピードをUPできる縫い方ですが、
「駒」の大きさのズレを意識しなくても縫い進めることができてしまうので、型崩れには注意を払う必要があるようです。

「関東縫い」も「関西縫い」も、美しい傘のフォルムを出すためには、
やはり正確な「裁断」と「中縫い」両方の技術が必須…ということですね。

ここが東京であることや、小椚・菅澤両師匠が「関東縫い」の傘づくりをしていることもあり、
私の周りにある傘は「関東縫い」の傘がほとんどですが、時折、師匠宅に「関西縫い」の傘が修理で届くことがあります。
一度ほつれている部分を縫わせてもらったことがありますが、上下逆にミシン掛けを行うのはなんだか不思議な感覚でした。

皆様のお持ちの傘の縫い方はどちらなのか、是非確かめてみてください。

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