小宮商店 KOMIYA SHOTEN

21世紀アート ボーダレス展 匠TOKYO2023にて小宮商店の職人の傘が展示されます

アート、工芸、デザインがボーダレス化していく中で、創造性・芸術的表現として優れたものを顕彰し、後世へと伝えていくという精神的、文化的試みとして始まったボーダレス展。
その中で伝統工芸分野の作家が集まる「匠」をテーマにした「21世紀アート ボーダレス展 匠TOKYO2023」に、小宮商店から3名の職人が出展いたします。

3名は通常の傘製作に取り組みながらも、試行錯誤をして一本の作品を作り上げました。
今回はそんな3名の作品をそれぞれご紹介したいと思います。

職人、田中一行の作品

日本の伝統的染色技術と先進的デザインを融合させた唯一無二のアパレルブランドを立ち上げた、染色現代アーティストの「KODAI YASUNO」さんとのコラボレーション作品です。
今回は「絞り染め」と「ろうけつ染め」の2点を製作しました。

KODAI YASUNOさんについてはこちらをご覧ください


左の写真が藍染め・右の写真がろうけつ染めです。

綿の白無地の傘カバーをKODAI YASUNOさんの染色技術で染め上げていただいたため、伝統的な染め方ながら現代的なデザインの傘になりました。
また、染め上げた生地をカットするのではなく、中縫いを終えたカバーの段階の生地に染色を施したため、傘になってもデザインがつながって見えるのが特徴です。

傘はシルエットがよりきれいに見えるよう、木型を何度も作り直しながら、カーブにこだわってつくりました。
さらに、手元にも藍染を施したため、一体感のある美しい仕上がりになりました。

KODAI YASUNOさんの染色技術と田中の傘づくりの技術を掛け合わせた職人魂のこもった日傘です。

職人、田中翔子の作品

麻の生地を、大きさの異なる四角に切り取り、それを縫い合わせて1枚の布にする「ポジャギ」という韓国のパッチワークのような技術で製作した、まるでステンドグラスのような透明感のある作品です。

麻の中でも、繊維が太く強度の高いラミーリネンを使用したため、風通しがよく日傘としてご使用いただくと涼しく感じられますが、製作時は針の通りが悪く、縫い合わせるだけでも一苦労な生地です。


表から傘を見るとこのようになっています。

そんな難しい生地を縫い合わせる工程で、四角の長さや形を調整しながら重ねた布の縫いしろ同士をかませて、細かい縫い目でつなぎ合わせていくのが「ポジャギ」。
表から見ても裏から見ても縫い目が奇麗に見えるように、このような加工を施していくため、一枚の布が完成するまでに大変な時間を要します。


裏から見ても表のようにきれいな縫い目になっています。

布が8枚完成したら、次はその布を傘に仕立てる作業です。
形が奇麗になるように、何度も調整しながら、やっと完成させた木型に沿って裁断した布を縫い合わせる際も、針が通りづらいために糸の調子を整えながら、丁寧にしつらえていき、やっと完成に至りました。

傘をたたんだ時は3色に見える仕様、開くと様々な色が飛び込んでくる、眩い日傘です。

職人、伊丹の作品「鹿鳴オンブレル」

こちらは明治初期の鹿鳴館時代に高級服飾品として使用されていた日本製西洋日傘『鹿鳴オンブレル』を、復刻版として完成させたものです。
現存する数少ない資料をもとに、素材を探すことからはじめ、細かい刺繍やパーツ、傘の形やカーブに試行錯誤し、完成まで数年かかった、小宮商店の取り組みとして製作した傘を再現し、再度作り上げました。

仙女香 日傘
こちらは当時使用されていた現物の傘です。

表生地は正絹紋織りで、内側には骨を挟む形でシルクサテン生地をかわず張りでかさねました。
手元の組紐の装飾なども、全てきめ細やかに現代の職人の手仕事で再現しています。

仙女香

鹿鳴オンブレルについてはこちらからご覧ください。

明治時代の復刻日傘『鹿鳴オンブレル』

上記の3点が東京都美術館にて展示されています。
すべて職人が自ら企画し、考案した作品で、それぞれの想いがこもっています。
入場料無料です。ご興味のある方は是非、弊社の職人の渾身の作品たちをご覧くださいませ。

展示会概要

東京都美術館 1F 第3展示室
2023年6月15日〜20日
9:30〜17:30(入場は17:00まで) 

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