小宮商店 KOMIYA SHOTEN

インクジェットプリントを使用した
一枚張りの傘

あけましておめでとうございます。
新人傘職人の小林です。

…うふふ、お気づきですか?
そうなんです。 昨年末、ワタクシ、見習い改め「職人」となりました。
見習いとして門を叩いてから、技術習得のために結構な勢いで走ってきた気がするのですが、振り返ればあっという間だったような。
まだまだ師匠や先輩職人の方々にお世話になる場面も多く、勉強しなければならないことだらけなことには変わりないので、ここは一つの区切りに過ぎないわけですが、直近の目標にしてきたことだったので嬉しいです。
そんなわけで2020年は私にとって、洋傘職人としての出発の年となります。
良い年になりますように!

さて、職人となるには様々な傘づくりに対応できる能力を身につける必要があります。
長傘・折りたたみ傘の区分はもとより、傘骨の形状や本数、大きさによって「中縫い」で縫い合わせる駒の数や形、難易度も異なりますし、「中綴じ」する箇所も変わってきます。
修行中は熟練職人である師匠の指示のもと、実戦を通じてその作り方を学んでいくわけです。小宮商店の主なラインナップである8本骨・10本骨・12本骨・16本骨の傘は、師匠の工房に頻繁にオーダーが来るため、私もこれまで作成に携わり、経験を積ませていただいています。

先日、小宮商店の社内工房にて、師匠の工房では経験したことのないちょっと変わった傘のサンプル作りをさせてもらいました。
以前、傘は、傘骨の本数に合わせて二等辺三角形に似た形の「駒」というパーツを裁断し、縫い合わせる、という「中縫い」の工程のお話しをさせていただきました。
通常はこの工程で作成した丸い傘カバーを骨に縫いつけて形成していくのですが、今回は一枚の円形の布を傘に張る、というのです。

渡されたのは小宮商店の傘がプリントされた生地と、なんと小椚師匠がアップでどどーんとプリントされた生地。 小宮商店の看板がわりに催事場などでの使用する予定です。

円形の生地には予め骨の本数に合わせてロックミシンをかけているので、そこを足がかりに、通常の長傘を作る手順と同様に作業を進めます。
一か所、生地の真ん中に石突を通すための穴をあけるのですが、師匠の顔を穴あけポンチで打ちぬいた時はちょっとした罪悪感が…。
最後に裾などの余分な生地のたるみを調整して完成!
平面の生地だった状態を見ているので、ふっくらと傘の丸みをもった「傘の傘」と「師匠傘」の完成形を見て、なんだか自分でとても不思議な気持ちになりました。

この一枚張りの傘、年始から小宮商店東日本橋ショップの店頭に飾ってあります。
お時間がありましたらぜひ、お店まで足を運んでご覧になってみてくださいね。

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