
特集 洋傘のことがわかる書籍『詳しく楽しく学べる 洋傘の教科書 1%以下の洋傘のこと』を小宮商店が3月5日に発売しました。
『詳しく楽しく学べる 洋傘の教科書 1%以下の洋傘のこと』
Mar,12,2026
小宮商店は、東京都「江戸東京きらりプロジェクト」のモデル事業として採択され、2023年より参加しています。この事業により本書の発行が実現できました。
誰もが一度は使ったことのある傘。
その中でも日本で職人によってつくられる「日本製洋傘」の割合は、現在日本で流通する洋傘のうち、わずか1%以下となっています。そこで、一人でも多くの方に日本製洋傘の奥深さや細部に宿る魅力を伝えたいという想いのもと今回の書籍を製作しました。
今回は編著として本書の製作に携わった、田川がこの書籍の内容と魅力をご紹介したいと思います。少し長くなりますが、ぜひお付き合いください。


内容紹介
本書では、洋傘の構造やつくり方から、歴史や伝統、職人の想いまでを、できるだけやさしく丁寧に紹介しています。それは「次世代に洋傘文化を伝えたい!」という想いが強いからこそ。洋傘業界の専門的な分野も、キャラクターの解説を交えながら、わかりやすく伝えることを心掛けました。


第1章 洋傘を知ろう
洋傘の基本を学ぶ入門章です。「洋傘と和傘の違い」からはじまり、構造・パーツ・用途・サイズ・品質基準・試験方法まで、洋傘の基礎知識を詳しく解説します。
ここでは日本製に限らず「洋傘」全体のことをお話ししています。普段使っている傘でも、きっと知らなかったことがたくさんあるはず。是非お手元の傘と比較しながら読んでみてくださいね。


第2章 洋傘の中をのぞいてみよう
洋傘は大きく分けると「骨」「生地」「手元(ハンドル)」という3つのパーツから成り立っています。本章ではそれぞれの素材や変遷、それをつくる人たちの想いも紹介しています。甲州織やほぐし織といった日本の織物技術をはじめとする骨・生地・手元の奥深い世界を体験できる章です。
それぞれのパーツは製造する業者がいて、傘屋はそれを組み立てて販売するのが仕事です。特に日本製の傘の生地と手元は2026年現在でも日本の職人が手作業でつくり上げています。そんな職人さんたちの「ものづくり」への熱い想いにも注目です。


第3章 洋傘をつくる・育てる・なおす
裁断から中縫いなどの多くの工程を経てできあがる「洋傘づくり」のことを丁寧に紹介し、職人の技や道具にも焦点を当てます。さらに、修理とメンテナンスの大切さを通して、長く使える洋傘文化の魅力を伝えます。
「洋傘づくり」は企業ごとにつくり方が異なる場合が多いため、ここでは小宮商店のつくり方をまとめています。工程の詳しい紹介では、「苦労したこと」や「美しい傘への仕上げ方」、「道具の使い方」などをたくさんの職人さんから伺い、皆が共通で意識されていることをまとめました。それ以外にも、それぞれのこだわりや製作のコツがあり、それが製品に反映されるのも日本製の魅力だと感じています。また、修理ができるのも日本製洋傘の良さ。洋傘もメンテナンスしながら、ぜひ長年の相棒にしてもらえると嬉しいです。


第4章 洋傘のはじまり
そもそも「傘」が歴史上に現れたのは4,000年ほど前といわれています。権威の象徴として使われていたとされている古代オリエントからヨーロッパへ渡り、女性用の日傘として広まります。そんな時代に嘲笑にもめげずにロンドンで傘を差し続けたジョナス・ハンウェイにより、一般民衆にも使われるようになりました。
このような18世紀以降の歴史や材料の変遷を辿りながら、洋傘がどのように発展してきたのかを解説します。また技術革新と素材の進歩から歴史の中で洋傘が果たした役割を描く章です。「洋傘の伝播」を地図でわかりやすく表現したページもぜひご覧ください。


第5章 和傘のはなし
洋傘の次は、和傘。日本の和傘の歴史を、古代から江戸時代まで辿り紹介します。日本の「かさ」の歴史は4世紀から5世紀の古墳時代のこと。やはりはじめは権威を示すものとして使用され、雨具としての主流は頭に被る「笠」。庶民が「傘(唐傘・和傘)」を使うようになるのは12世紀頃といわれています。江戸時代には各地で和傘がつくられ、多くの人が雨よけ・日よけに使っていました。
そんな和傘の用途や油紙傘の技法を紹介し、言葉や風俗との関わりなどを通して、洋傘との違いがより立体的に理解できる章です。さらに中国・東南アジアなどアジア各地の傘文化もわかるコラムも掲載しています。傘がどのように用いられてきたのか、それぞれの国や地域によって異なるのも面白いですよね。


第6章 日本に広まった洋傘
いよいよ洋傘が日本にやってきました。それは1854年の黒船来航でのことといわれています。文明開化とともに広まり、ここから洋傘は急速に発展し、ほどなく洋傘の純国産化にも成功します。そんな明治期の洋傘の発展や功労者たち、技術革新と素材の変化などを、時代をたどりながら、日本製洋傘の変遷と産業の歩みを描いています。
最後に掲載している洋傘の歴史が分かる年表は、様々な資料から情報を集め、それをまとめたものです。その時代の出来事と合わせてみることで、洋傘がなぜ登場し、どのように発展したのかなどを、より深く理解できるように心がけましたので、是非ご覧ください。


第7章 技と心をつなぐ
2018年に東京都伝統工芸品に認定された「東京洋傘」。洋傘づくりの伝統と技術を受け継ぐための取り組みや日本製洋傘の価値などを、東京都の伝統工芸士や今活躍している洋傘職人たちの想いとともに紹介しています。
本書のまとめとして、これまで洋傘産業を支えてこられた方々への感謝とともに、これからの「日本製洋傘」を考える章となっています。明治時代から受け継がれてきた伝統技術や、ものづくりへの想い、そして6章まででお伝えした「洋傘文化」を、次世代につないでいくために、少しでも多くの方に洋傘の魅力が伝われば嬉しく思います。


商品販売
本書はこちらで販売しております。またショップ(実店舗:東京都中央区東日本橋3‐9‐7)でも販売しております。お近くにお越しの際は一度お立ち寄りいただけると嬉しいです。『詳しく楽しく学べる 洋傘の教科書 1%以下の洋傘のこと』概要
サイズ:B5判 176ページ
発売日:2026年3月5日
販売価格:2,700円(税込)
販売場所:小宮商店WEBサイト/ショップ
発行元:株式会社 小宮商店
編著:家所美菜子・田川沙也香
デザイン:株式会社シーアンドアイ
イラスト:大場新之助・折田晋哉
写真:田川沙也香・折田晋哉
小宮商店公式WEBサイト:https://www.komiyakasa.jp/
想いのこもった洋傘の専門書
もしこのページをご覧いただき、少しでも傘に興味を持っていただいた方がいらっしゃれば、ぜひ一度本書を手に取っていただきたいと思っています。また普段あまり意識せずに使っている「傘」に、少しでも目を向けていただき、その奥深い背景や細部に宿る魅力がより多くの方に伝わるきっかけになれば幸いです。
「江戸東京きらりプロジェクト」のこと

小宮商店は、東京都の「江戸東京きらりプロジェクト」のモデル事業に選定されています。本プロジェクトは、“Old meets New”をコンセプトに、確かな品質、デザインの美しさはもちろんのこと、現代のライフスタイルに合った新しい提案をしていこうという意欲に溢れる取組を厳選し、東京を代表するブランドとして国内外に紹介しています。
江戸東京きらりプロジェクト オフィシャルサイト(https://edotokyokirari.jp/)

