小宮商店の傘作り
The process of making an umbrella

傘はほとんとすべての工程が手作業です。

この機械化の時代、ラインに乗せれば傘も全て自動で作られると思われがちですが、いまだに傘はほとんどすべて工程で「人の手」を必要とする製品です。
そのため、最終的には作る人の経験と知見が出来栄えを左右する、 大変デリケートで奥の深いものです。 ここではそんな職人技の光る、小宮商店の傘作りをご紹介します。

日本橋の傘・小宮商店|裁断

【1】傘生地の三角裁断

木製の型に合わせ生地を裁断。この裁断によって傘のフォルムが決まる、非常に重要な工程です。
裁断した三角形をコマ(駒、小間)と呼びます。 コマはよーく見ると正二等辺三角形ではなく、両辺は緩いアーチになっており、これが傘の美しい丸みを生み出します。

【2】コマ検反

傷や糸のよれがないか、コマに光を当ててしっかり検査します。透き見ともいいます。

職人さんのキラリと光る鋭い目つき、その眼の動きまでもが、いぶし銀の達人技。

【3】中縫い

次に、コマを親骨の本数に応じてミシンで縫い合わせます。 わずかな縫製のヨレも許されない、熟練した技術が求められます。コマの三角形頂点から縫い合わせていく手法で、これを「関東縫い」と言います。三角形の底辺(露先側)の方から縫い合わせていく方法よりも難易度が高い方法ですが、仕上がりは美しくなります。
この中縫いが終わったものをカバーと呼びます。

日本橋の傘・小宮商店|傘つくりの工程

【4】ダボ包み/ロクロ包みの製造・取付け

骨の関節部分を「ダボ」と呼び、そこを布で包むことをダボ包みと呼んでいます。 ダボがむき出しのままだと、生地と密着したときに生地が汚れたり擦れたりしますが それを防ぐために一つ一つ付けていきます。

ロクロ包み
受骨を束ねている箇所(傘を開く際に上に押し上げる部分)をロクロと呼び、それを生地で包みます。
使う人が痛くないように、という小宮のこだわりです。 (傘によってはついていないものもございます)

【5】天かがり

これからいよいよ生地を骨に張っていく作業です。
まずは天かがり。
石突きからカバーをかぶせた後は、その名の通り、天井を糸でかがります。この作業がしっかりできていない傘は雨漏れが起きたり、壊れやすくなったりします。

【6】口とじ(口づけ)

露先とカバーを縫い合わせていきます。
露先とは、カバーの先端と親骨の先端を結合する部位のこと。
良い張りにするため、ぐいっ!ぐいっ!と引っ張りながら縫っていきます(ただし引っ張りすぎてもいけない)

【7】中とじ

カバーを骨に糸で縫い付け、固定する工程です。1本の骨に2カ所ずつ、丁寧に縫い留めていきます。工程の中でも重要なポイントです。

【8】陣笠・菊座つけ

傘の先端部分に取り付けられている防水布を「菊座」、 生地の天井にある円錐形の器具を「陣笠」と呼び、これらを取り付けます。
いずれも雨漏りが起きないように行う工程です。
特に陣笠の取り付けは、中棒の寸法に合わせて陣笠の大きさを絞り、隙間のないようしっかりとかしめる必要があるため、熟練の技が必要です。

【9】手元付け

最後に手元(ハンドル部分)を付ける工程です。
中棒を少々削って溝をつけます。こうすることによって手元が外れにくくなります。
その上から糸を巻き、ボンドを付け、しっかり慎重に取り付けます。

【10】製品検査

全ての工程が終われば、小宮商店の製品としての検査を行います。
開きやすく閉じやすいか。作った職人の目線だけではなく、小宮商店のアンブレラマスターが一つ一つ出来栄えを確認。
お客様視点での最終検査です。

熟練職人の手仕事をぜひ感じてみてください。

「菊座」に「陣笠」、「露先」や「天かがり」…なんて古式ゆかしき雅な雰囲気の名前でしょう。
傘にはこのように、ほぼ全ての部品や工程に立派な名前が付けられています。 古くから傘作りが人の手によって行われ、またそれがいかに身近な存在であったかが分かります。
小宮商店のある日本橋にも、かつてはたくさんの傘職人が住み、70店以上の傘専門店がありました。

翻って現代。傘を1本も持っていない人はいらっしゃらないと思いますが、実用品・消耗品であるということや、盗難・紛失への心配などから使い捨てが当たり前となり、傘に多大な愛を持ってお使いになっている向きというのは、そう多くないのが実情です。

しかし上述のように傘は、熟練職人の手仕事が随所に込められた製品です。これまで思い入れの無かった方も、傘に触れたときにはそんなことに想いをはせて頂けたら本当に嬉しいです。