今は「傘は骨で選ぶ」が新しい! ~傘の漢字と骨の意外な関係(後編)

傘の「名脇役」って、いったい誰?

「人=傘骨説」(~傘の漢字と骨の意外な関係(前編)~参照)が正しいと考えるならば、傘骨は、象形文字の漢字でも表されるほど、傘のパーツとして重要視されていたことになります。 傘と言えば、見た目の多くを占め、実際に雨や陽射しを防ぐ「生地」が紛れもない主役。 しかし、傘骨も「名脇役」として外せない役どころを担っていると、昔の人は考えていたのではないでしょうか。

ただし、現代の傘骨は当時と比べると、随分と進化していることは言うまでもありません。 たとえるなら、役者の数が増え、それぞれの技能も高まっているのです。

「繊維強化プラスチック」とは、なんだろう?

大きなくくりで見ると、近年、最も注目されている新しい骨が、「繊維強化プラスチック」。 これは、材質が非常に強く、その割には釣竿のようにしなやかで、おまけに軽くて錆びない、言ってみれば“いいとこ取り”の骨材料の名称です。 高級品の傘では、航空機の機体にも採用されているカーボン繊維強化プラスチック(カーボンファイバー骨)が使われ、一方、普及版の傘では、ガラス繊維強化プラスチック(グラスファイバー骨)が使用されています。

他にも傘骨の材料には、軽量のアルミ軽合金や、昔ながらの屈強なスチール(鉄)など色々あります。 加えて、骨の数もさまざま。 基本的なタイプは8本ですが、骨数を12本、16本、24本などと増やした「多間骨」(「多骨傘」ともいう)と呼ばれる傘もあるのです。

広がる傘の選択肢、買う時のポイントは?

そこで知っていただきたいのが、傘を購入する時、目的に応じて、こうした「骨の材質や数」を考慮して選ぶ方法もあること。 例えば、風や雨の中でも壊れにくい上に軽い傘がほしいなら、カーボン骨製の傘を選ぶのが一つの手。 骨数が多いほど強度は増すので、多間傘(多骨傘)も候補になるでしょう。 カーボン骨で多骨傘であれば、まさに“最強の傘”と言えるかもしれません。

また、カーボン骨の他に、丈夫で軽量な傘を求めるならば、普及品のグラスファイバー骨の傘を選ぶのも手。 「多少重くてもいいから、とにかく頑強な傘がほしい」という方は、鉄骨の傘も選択肢になります。 また最近では“おちょこになっても元に戻る”耐風構造の骨も登場し、骨のバリエーションも豊かになってきています。 従来は生地の柄やデザインで傘を選ぶことが多かったという方も、これからは、傘骨の材質や数を見て、自分の目的に合った傘を買うことも、試してみてはいかがでしょうか。

傘の漢字、中にいるのは「人」じゃない! ~傘の漢字と骨の意外な関係(前編)~

傘の漢字、中にいるのは「人」じゃない! ~傘の漢字と骨の意外な関係(前編)

傘の漢字になるまでの由来

普段何気なく使っている「傘」という漢字。 よく観察すると、中に漢字の「人」が4つあるように見えます。 そのことから、「人が4人も入れるなんて、昔は随分大きな傘もあったのだな」と思う人がいるかも。 けれども、それは間違い。 これは4人の人を表しているのではないのです。

では、いったい何か? その答えの前に、少しだけ傘の漢字のルーツをたどってみましょう。 発祥の地の中国では、元々は傘ではなく、「繖」という漢字が使われていたようです。 使用されていたのは後漢(25年~220年)までということですから、今かおよそ1800年以上も前の時代。 「糸」を編んだ布製の傘が、降ってくる雨を「散」らして防ぐ様子が読み取れて、まさにピッタリの漢字です。 ちなみに音読みは「散」と同じ「サン」。 傘の音読みが「サン」なのは、旧字に由来があるのです。

雨粒が流れる説もあるよ!

その後、後漢に続く六朝時代(229年~589年)に、俗字として「傘」が使われるようになったと伝えられています。 「人」は生地、「十」は中棒に見立てることができ、見るからに傘と分かる象形文字です。 しかし、ここで疑問が浮かびます。 中にある4つの「人」は何かという問題です。

実は、これには諸説があります。 例えば、生地をつたって流れ落ちる雨粒を表しているという説。 水の筋のようにも見え、これは一理ありそうです。 あるいは、傘の模様であったり、生地のしわを表現しているといった説もあります。 言われてみれば、そんな見方もできるかもしれません。 いずれも雨の日に差している傘を外側から見た場合の解釈です。

有力なのは「傘骨説」

そして、もう一つ説があります。 それが、「傘骨」を表しているというものです。 ご自身がお持ちの傘を内側から見てください。 傘生地が張られている「親骨」と言われるパーツと、その親骨を中棒に突っ張る形で支える「受骨」と呼ばれるパーツの2種類が見て取れるでしょう。 そうした親骨と受骨の構造を「人」という漢字を4つ用いて、見事に表しているとは思いませんか?  諸説ある中で、この“傘骨説”が有力視されているのは、象形文字として、傘そのものの構造を表しているという理由に納得感があるからでしょう。

今は「傘は骨で選ぶ」が新しい! ~傘の漢字と骨の意外な関係(後編)